炎のフラッシュ(ストロボ)撮影テクニック

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カメラが好きな人向けマニアックトーク。

 

技術的な話です。

炎の美しさを撮るためのテクニックは実は物凄く奥が深く、なかなか思い通りには撮影できません。

例1 白い炎

たとえば下の写真はシャッタースピードを長くして軌跡を写していますが炎の色は撮れていません。
真っ白になっています。

地面や周囲の看板などは暗いながらも綺麗に見えていますが、これらに露出をあわすと火は明るすぎて色が白くとんでしまいます。

 

例2 暗闇に浮かぶ火の玉

次の写真は炎に露出を合わせていますので炎の色は綺麗に撮れていますが今度は人の体は見えません。

火の質感を出すためには絞りをぐっと絞ってISO感度を落とす必要があるため火以外の部分は夜だとほぼ写りません。
余談ですがサングラスをかけて火を見ると写真で見るような炎の表面の質感が綺麗に見ることが出来ます。

上記の白とびや黒つぶれがおきるのは、

炎 物凄く明るい!
周囲 物凄く暗い!

という状況で撮影するため、通常はカメラだけであればどちらか(人か炎)の露出に合わせれば逆のほうが綺麗に撮れなくなってしまうのです。

しかしこれは(強い)フラッシュを使用することで解消することができます。
まだ設定を模索中ですが例のひとつがこれ

カメラの設定を炎の明るさに合わせ、最後にフラッシュを焚いて演者を浮かび上がらせるという仕組みです。

以下、ファイアーの撮影をしたい人必見の撮影テクニックを書きます。
おお!と思ったら鍛えて新しいテクニックを是非僕に共有してください。

設定方法

0 フラッシュ発光モード

フラッシュの発光を後幕にする。
フラッシュはシャッターを切る際に先に発光させる先幕か、後に発光させる後幕かがあります。
後幕の方が自然です。

先幕

02-05_r7_c9.jpg

後幕

02-05_r4_c2.jpg

1 カメラで炎だけを綺麗に撮れる設定を作る。

演者は火をつけ適当に回しておきます。カメラの設定はマニュアルです。
通常であれば、ISO 100, F10程度で撮影を行い、そこから微調整していきます。(ライブパフォーマンスの場合はフラッシュの連射性を優先してISO400,F10程度がよい。 :コメント参照)
シャッター速度はバルブモードにしておき自分の好きなタイミングでシャッターを切ります。
※背景が真っ暗で、火を回し続ける動きの場合、シャッター速度は基本的に関係ありません。

2 フラッシュ(ストロボ)の設定

1の設定のまま、演者に今度は火を持たずに立ってもらう。
フラッシュはETTL等ではなくマニュアルモードにします。

適当にシャッターをきり、フラッシュを焚く。

580EXII等の手動でフラッシュを焚けるタイプのフラッシュは、バルブモードでシャッターを開きっぱなしにしておき適当なところでフラッシュをたき、シャッターを閉じれば簡単に写真の仕上がりを確認できます。
人が綺麗に写る位置、フラッシュの強さを設定します。

※この時点でかなりの光量があるフラッシュでないと人物は撮影できません。

3 撮影

ファイアーポイを回してバルブモードでバンバンとります。
回し始め、中、消えかけ、で微妙に露出が変わります。
そこは経験と勘で微調整。もしくは設定を変更せずに撮影してもそこまで白とびや黒つぶれは気にならないと思います。

※上記テクニックはライトにも使えます。
※フラッシュの重要性と絞りの基礎概念はHBK!さんに数年前に教わり新たな写真の魅力に目覚め、そして海外のカメラマンたちと交流し、自分なりにアレンジしつつ今日に至ります。
※HBK!さんに心から感謝しています!

上記設定で撮りつつ、他のこまごました微調整もありますがまだ未完成な部分が多いし長くなるのでそこは省略します。

フラッシュの購入を検討されている方へ

フラッシュはある程度強いものを購入しなければファイアー撮影は厳しいことはお分かりになったかと思います。
またフラッシュを普通に使っただけでは平面的な写真になるため、フラッシュを2台以上つないでシンクロさせて他方向から発光したり、ケーブルで伸ばして横から焚いたりするとより立体的な絵が生まれます。

2台目以降を同期して使うとき、親機のストロボをマスター、子機のストロボをスレーブと言いますが、最近カメラ本体にはマスター機能(スピードライトトランスミッター機能)が標準搭載されており、またある程度クラスの上のフラッシュにはこのワイヤレスのスレーブ機能がついています。

zu_03.jpg

ワイヤレスマスタ機能搭載機:Kiss X5, X6i, 7D, 60D,ほか

私は580EXIIというもっとも高機能で協力なフラッシュのひとつを破格で購入することができて使用していますがその他オススメのフラッシュを紹介します。

キャノン向けマスター機能つきカメラ&フラッシュ

キャノン向けスレーブ機能付フラッシュ


※320EXは弱いかもしれません。私なら5000円多くだして430EXIIを購入します。
※その他にもワイヤレススレーブとして使えるフラッシュはありますがファイアー用途では弱いので省きました。

その他のメーカーのフラッシュ

特殊なマシンガンストロボ

その名の通り、マシンガン並みにフラッシュを連発できる高級フラッシュ

番外編

スレーブユニット

キャノンのワイヤレス発光は何故か後幕発光ができません!

冗談よしてよ!と言いたくなりますがホントです。
アメリカでThomasとあれこれやっても出来ずにマニュアルを何度もうそでしょ?と読みなおして、それでも後幕発光する方法が見つからず心から失望してニコンに乗り換えることも本気で考えました・・・。

純正だけのワイヤレスではファイアーパフォーマンスの撮影がまともに出来ないという不具合があります。ふざけるな!という怒りの声を上げたいです。

しかしそれを解消するのがスレーブユニット!

ああこういう機材があって本当によかった!

スレーブユニットにフラッシュを取り付けると、他のフラッシュが発光した光に反応してフラッシュが発光します。
つまり本体のフラッシュの設定を後幕にしておけば、このスレーブユニットに取り付けたフラッシュはキャノンだろうがニコンだろうが、自動的に後幕発光するスレーブフラッシュとして仕様することができます。

その際フラッシュのオート調光機能が使えず、マニュアルで光量設定を行う必要がありますが、ファイアー撮影はそもそもマニュアルで設定するので関係ないでしょう。

オススメスレーブユニット

 

 エツミ E-528 スレーブユニッ...

 エツミ E-528 スレーブユニッ...
価格:2,710円(税込、送料別)

 

↓↓ これかっちゃだめ !! ↓↓

↑ このユニットはサンパックのフラッシュ専用でした。接点があうフラッシュであれば使えましたが、ボタン電池が必要でしかも電池がすぐ切れる!
珍しいタイプの電池で2個買うと大体500円。撮影ごとに500円かかるし、接続できないフラッシュもあるし、非常にコストパフォーマンスが悪いです!
サンパックのフラッシュであれば買い、他のフラッシュの人、少なくともファイアー写真を撮ることを考えている場合は買わないほうが良いと思います。

魚眼レンズとフラッシュ

魚眼レンズとフラッシュ(大きめ)の相性は最高です!僕の使っているのはTF-115という安いコンバージョンレンズ、それに580EXIIをつければ集合写真に最適カメラが誕生です。

カメラ → 絞りを F9 ~ F12
フラッシュ → マニュアルで適正を自分でタタッ数枚ためし撮りしつつ探す

そうすると夜でもばっちり集合写真撮れるし、撮られるみんなの盛り上がりも撮られたあとの驚きの反応も確実にもらえて楽しくなります。
写真を撮ること、それ自身がパフォーマンスになるのですね。

 

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参考書


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コメント(2)

ここまでしっかり記載してあるとわたしの持論もひとつ付け足したくなったのでコメントします。

■炎はいきものです。
発火から消化までをひとつの寿命ととらえます。
1.発火時は煌々と火が生きています。
2.しばらくして火は落ち着き安定した火力が持続します。
3.消化が近づくにつれ火は細くなります。

このなかで安定した露出のデータが取れるのは2の状態と思います。

それを念頭にわたしは撮影しています。

■YUTAがあげている例
(通常であれば、ISO 100, F10程度で撮影を行い、そこから微調整していきます。)
これに関して一言言及します。
ISO感度100、F10でのストロボの光量についてです。
使用機材は彼と同じ580EX2を使用すると仮定します。
1/1の発光時、フラッシュの光が届く距離はおよそ6メートル。
これにワイドパネルをつけたら1.5メートル。

距離にしてみれば問題はありません。
しかし、個人的にはおすすめしません。
なぜなら1/1発光はフル発光なので2回目の発光までにチャージ時間が必要となり、連続して撮影することが難しいです。
そのタイムロスは2秒、3秒と徐々に増えて行きます。
たったそれだけと思うひともいると思いますが、そもそも炎の寿命は決して長くありません。そのなかで一番撮りやすい時間帯はおもったよりも短いです。
なのでこのタイムロスはとても大きく感じます。

ゆえに、わたしは基本設定をISO400,F10でお勧めします。
仮にISO400、F10の条件化でフラッシュが届く距離6メートルを要求するならば、ストロボの光量は1/4で事足ります。これならチャージの時間もほとんど無いのでストレスなく撮影が可能です。


●私がかつて喜界島でドリームチーム”ボンベイロ”のショーを撮影したときの話ですが、12人のファイアーダンサーのショーとなると25~30分あります。そのなかで撮影すると必ずストロボの電池残量が問題となります。その対策としてわたしは、ISOをある程度はあげることでストロボの発光量を抑えて使用しました。そのおかげで最後までストロボの電池残量低下によるチャージタイムロスに陥らずにすみました。


YUTA、いかがでしょうか?

師匠有難うございます!
恥ずかしながらガイドナンバーの持つ意味をきちんと調べず、他の項目で調整してフラッシュは感覚的に使っていました。さっきちゃんと調べたので意味が分かりました、有難うございます。

ガイドナンバー÷絞り値(F値)=発光距離(m) (ISO100時)

と言うことなのでガイドナンバー58で1/1 の場合僕の設定だと微調整はあるだろうけれどおおよそ

58 / 10 = 5.8m

が適正位置なわけですね。
そこでISO400で2段分余裕生ませてフラッシュを2段下げて連射可能にする。
ライブなら若干炎が白飛びするのに目をつぶってそうしたほうが良いですね!

確実にこれをとる!という前提で撮影会をする場合や外部電源がある場合は1/1でやる(1/1の必要があれば)、または複数のフラッシュをシンクロさせて撮る。
ライブパフォーマンスの場合は連射性を優先する。
という感じでしょうか。

またひとつ賢くなりました!ありがとうございます。

ちなみに9月15~17日のファイアーキャンプでは外部電源をつけてモノブロックを使ったファイアー撮影ブースを立てて実験する予定です!もしタイミングがあえば是非ファイアーキャンプにも遊びに来てくださいね!
http://firecamp.info/

※露出の一段・二段とかの意味が分からない人は露出に関する記事も見て下さい。
http://www.yutapoi.com/poiblog/2009/12/cameramemoexplosure.php
http://www.yutapoi.com/poiblog/2009/12/camerarosyutsu2.php